東京大学 有志学生による
事業仕分けに関するアンケート・署名活動

このページでは、私どもが活動に至った理由を簡単に説明しています。また、私どもの活動以外に皆さまが個々人としてできる活動の例を紹介します。

背景

先日終了した政府の行政刷新会議の事業仕分けにおいて、日本の科学技術や学術(特に自然科学系)に取り返しのつかない打撃を与えるような結果が出されました。詳細は文部科学省のページをご覧いただくとして、ここでは大学生・大学院生の皆さんに特に関連がありそうな項目を幾つか挙げさせて頂きます。

  1. 若手研究育成に係る科学技術振興調整費予算及び特別研究員奨励費予算の大幅縮減(「若手研究者の生活支援のようなシステムはやめるべき」などの評価も)
  2. 国立大学運営費交付金予算の見直し及び縮減(法科大学院は無駄などの評価も)
  3. 各先端研究に係る競争的資金予算及び女性研究者支援に係る競争的資金予算の縮減または廃止
  4. 大学の先端的取組支援予算の大幅削減

ノーベル賞・フィールズ賞受賞者や全国の大学の学長などの名だたる学者の方々や、日本の学術に係る学会に所属する方々は、このままでは日本の科学技術に取り返しのつかない事態に陥るとの声明などを発表しておりますが、大いに関係があるはずの学生からそのような声が出ていることは世間に知られていないのが現状であります。

日本を代表するハドロン物理学者の初田哲男氏は「将来にわたり一番深刻な影響を与えるのは、研究者育成や若手支援のような事業です。資料の図にあるようにポスドクの数はいまや1995年のレベルにもどっています。若手支援育成を生活保護と同定するような極端に視野の狭い意見がどうどうと仕分けでまかりとおり、公に発表されるような事態を黙って見過ごすわけにはいきません。」と仰っております。このような状況であるにも関わらず、当事者でもある学生が声を上げないのでは「権利の上に眠る者」となってしまい、将来非常に不遇な状況下で勉学・研究に従事することになっても誰に文句を言うこともできません。

そのうえ上記のような予算縮減は、11月25日にノーベル賞・フィールズ賞受賞者5人による緊急声明文の中で「『事業仕分け』と称される作業は、(中略)若者を我が国の学術・科学技術の世界から遠ざけ、あるいは海外流出を惹き起こすという深刻な結果をもたらすものであり、『科学技術創造立国』とは逆の方向を向いたものである。」とありますように、戦前から日本が積み上げてきた科学技術の基盤を根こそぎ破壊する危険を非常に高い可能性を持っております。

そこで私どもは、活動内容に示す行動を起こすことにしました。

私たちにできること

文部科学省の一般に対する意見募集に応える(12月15日まで)

文部科学省は事業仕分けでの予算削減の判断と異なる予算要求をするための根拠として、皆さんの意見を求めています。当事者の生の声をあげること、また、数字をあげた具体的な議論をすることなどにより、効果的な訴えとなるでしょう。

民主党のWebサイトに意見を伝える

民主党のマニフェストの項目45にある「国立大学法人など 公的研究開発法人制度の改善、研究者奨励金制度の創設などにより、大学や研究機関の教育力・研究力を世界トップレベルまで引き上げる。」と仕分け結果の矛盾を衝いたり、仕分けの意見が事実誤認であることを指摘するなど、ディベートの基本に則った書き方が有効でしょう。

その他

どの経路で訴える場合においても、例えばあるプロジェクトにおける特別研究員の論文数など、具体的で客観性の高い数値をつけると効果があがると思います。

それぞれの地方で、選出された民主党議員に対し意見を送るのも効果的でしょう。多くの議員は、自分のHPで意見を受け付けているはずです。もし個人的に知己の議員がいれば、なお良いと思います。実際、有志のうちの一人は地元選出の参議院議員と実際に面会する予定です。

ご自分だけでなく、ご家族、知人友人、あらゆる方にアクションするよう伝えてください。アカデミックな場におられる方だけでなく、産業界の方などの意見も効果的と思われます。あなたの親戚、先輩、昔の同級生などに賛同してくれそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひ声をかけて下さい。

09/12/08更新; 京都大学 文化人類学分野 若手研究者有志の皆さんが、人文・社会科学分野の若手研究者を対象とした署名、及び、そのサポーターとして対象を絞らない署名を募っています。よろしければご覧ください。